ある番組で北極圏の動物の生態を捉えた場面がありました。
カリブーという北極圏に住む鹿の集団は北極圏内を大移動します。生まれたての赤ちゃんカリブーもいっしょに大移動します。

そんな中、一匹の北極オオカミが赤ちゃんカリブーに目をつけました。群れから引き離すことに成功したオオカミはその赤ちゃんカリブーに迫ります。
北極オオカミの走る速度は、時速60Kmです。赤ちゃんカリブーも必死で逃げますが、2頭とも相当な距離を走りながら、徐々に距離が縮んでいきました。私もすっかり画面に引き来まれてハラハラ、ドキドキ。ところがあと少しで追いつくといったところで突然オオカミは追いかけるのをやめてしまいました。

なぜなのでしょうか?
おそらく、さらに追いかければ明らかに追いつけた状況なのです。

私も最初はまったく理由がわかりませんでした。

しかし、いろいろ考えてみて思いついたことは、オオカミの脳にある「獲物を捕らえる」という本能が突然シャットダウンしたのではないかということでした。

人もマラソンなどで同じような経験をするといいます。
あるところまでいくと疲れがたまり、もう限界、これ以上走ると身体が壊れてしまう、そんな恐怖を感じます。
オオカミが途中で追跡を止めてしまったのはおそらくこうした理由です。

ところが、マラソンでは、何とかそのような限界を乗り越えると、ふたたび走ることができるようになります。そして『さっきのあの疲労感と恐怖は何だったのか』と。

赤ちゃんカリブーはおそらくこっちの状態だったのです。これらは脳が作り出す、身体を極限まで使い切ってしまわないようにする危険回避システム、そしていざ危機的状況ではそのシステムをスイッチオフにする仕組みなのです。

このような危機回避システムが脳の機能として存在することを考えると、加齢も一種の脳の危険回避システムと考えられる様な気がします。
年を取ったなあ!と感じるのは高齢者ばかりではありません。小学生でもそんなことを言います。つまり年を取ったという意識は脳が作り出す幻影で、身体が限界以上に暴走しないようにする危機回避システムの一つなのかもしれません。

脳の危機回避システムの特徴として、それが作動する時は必ずネガティブな思考が起こっています。しかしそんなときにあえてポジティブなことを考えると、危機回避システムのスイッチが切れるようです。これが脳やカラダの若さをコントロールする秘訣かもしれません。

となると、年を取ったからできなくて当たり前と考えない方がよいということになります。年齢は単に脳が作り出した幻影に過ぎない。ちょっと飛躍しすぎですかね?