ある方が病院の外来を訪れました。
まず受付で何科にかかりたいですかと聞かれました。その方は病気にならない方法を
教えてくれる診療科にかかりたいですと答えました。受付は困惑しました。
受付は、「残念ながら、そのような診療科は当院には存在しませんので、どうぞ病気になってから
当院にお越しください」と説明してその方にお引き取りを願いました。

このように日本の医療は病気になってから始まります。
すなわち、困った時の駆け込み寺的な存在です。医師も病気の人には興味を示しますが、
冒頭の方が受付をすり抜けて外来まで来てしまったら、きっと何しに来たのですかと
いってしまうかも知れません。

しかしそれでよいのでしょうか?

私はほんとうの医療は人々を病気にさせないことだと信じています。
病気にならないカラダを作る、それを一緒に考えていくことがほんとうの医療であると。

それでもようやく病気は早期発見が重要と人間ドックなど検診の仕組みは充実してきました。
言葉は悪いですが、「早期に病気を見つけて病院に送り込む仕掛け」はできています。
もちろんこれはこれで非常に重要なことです。病気が深刻にならないうちに見つかれば
治療によって元に戻ることができます。しかしせっかくこのような検診の仕組みがあっても
検診に行く人たちはまだまだ少ない状態です。

それでは、『このように自由気ままな生活をして、病気になってしまってから医療の
お世話になることがよいのでしょうか』と尋ねると、これはどなたに聞いても
「よくない」と答えるでしょう。
また別の質問で病気になっても仕方がないと思っているかどうかと聞いてみますと皆、
病気にはなりたくないと答えるでしょう。

私は、長年医療の現場とそこで治療手段となる薬剤を開発する製薬企業に勤務していました。
治療薬はもちろん必要不可欠な存在ですし、より効果の高い薬剤を開発することは重要なことだと
考えていました。
しかし今は病気にならないことがもっと重要なことだと思うようになりました。

病気にならないカラダを作る第一歩としては、自分自身のカラダの仕組みを知ることが
必要だと思います。